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・・・う暇もなく、停ると同時に早や次の運動が波立ち上り巻き返す――これは鵜飼の舟が矢のように下ってくる篝火の下で、演じられた光景を見たときも感じたことだが、一人のものが十二羽の鵜の首を縛った綱を握り、水流の波紋と闘いつつ、それぞれに競い合う本能的・・・
横光利一
「鵜飼」
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・・・この二つが長となり短となり千種万種の波紋を画く、人事はこの波紋を織り出した刺繍に過ぎぬ。 社会には美しい方面がある。しかしこれを汚さんとする悪の勢力ははなはだ強い。一人の遊冶郎の美的生活は家庭の荒寥となり母の涙となり妻の絶望となる。冷た・・・
和辻哲郎
「霊的本能主義」