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・・・ 著者が故人を語るに当たって示した比類なき友情の表現もまた同様に脱我の立場によって可能にせられている。特に人を動かすのは浅川巧氏を惜しむ一文であるが著者はここに驚嘆すべき一人の偉人の姿をおのずからにして描き出している。描かれたのはあくま・・・
和辻哲郎
「『青丘雑記』を読む」
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・・・面におけるこのような芸術的苦心はおそらく他に比類のないものであろう。このことは日本の彫刻家の眼が肉体の美しさよりもむしろ肉体における「人」に、従って「顔面の不思議」に集中していたことを示すのではなかろうか。 が、これらの面の真の優秀さは・・・
和辻哲郎
「面とペルソナ」