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・・・自己弁護はともすれば浮誇にさえも流れる。それゆえ私は苦しむ。真実を愛するがゆえに私は苦しむ。六 私は自分に聞く。――お前にどんな天分があるか。お前の自信が虫のよいうぬぼれでない証拠はどこにあるのだ。 そこで私は考える。―・・・
和辻哲郎
「生きること作ること」
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・・・ 私は二三日前に一人の女の不誠実と虚偽と浅薄と脆弱と浮誇とが露骨に現わされているのを見た。しかし私は、興奮して鼻の先を赤くしている彼女の前に立った時、憐愍と歯がゆさのみを感じていた。性格の弱さと浮誇の心とが彼女を無恥にし無道徳にしている・・・
和辻哲郎
「転向」