・・・公辺からの租税夫役等の賦課其他に対する接衝等をもそれに委ねたのであった。実際に是の如き公私の中間者の発生は、栄え行こうとする大きな活気ある町には必要から生じたものであって、しかも猫の眼の様にかわる領主の奉行、――人民をただ納税義務者とのみ見・・・ 幸田露伴 「雪たたき」
・・・強制賦役反対、弁当代を出せろと云っているんです」 やがて、美味いウドンの昼飯をすませ、山芋掘の鍬をかついだ××君を先頭に家を出た。栗鼠が風の如く杉の梢を、枝から枝へ飛び移って行く。栗の青いイガが草の中へ落ちている×××老人の家で夜まで遊・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
・・・ロシアでは一八六一年農奴解放が行われたが、これはドイツにおける農奴解放と同様にこれまでの農奴として地主のために賦役させられた農民が、今度は生きるために「自分の意志」で賦役制度にしたがわなければならないことになった。農民の貧困は改善されなかっ・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
出典:青空文庫