・・・イギリスの社会は周知のように、階級分化がすすんでいて、その社会独特の、平民的でありながら動かしがたい身分関係とそのしきたりにしばられている。市民としても文学者としてもいわば変り種であるローレンスは、そのようなイギリスの中流、上流社会に対して・・・ 宮本百合子 「傷だらけの足」
・・・広い文化の分野でせまい分科的にではあるかも知れないが綜合的な世界の文化を縦に貫ぬいた年表が欲しいのである。困難な仕事であろうが、文化貢献の為乗り出して下さる出版社がないものだろうか。〔一九三六年六月〕・・・ 宮本百合子 「業者と美術家の覚醒を促す」
・・・さもなくて、どうしてすべての若い女を勤労動員し、すべての学徒の、文科学生だけを前線にかり出すことが出来たろう。献金、献金、供出、供出と強要できたろう。八月十五日が来たとき、日本じゅうに灰色の煙をたててそれらの血ぬられた統計は焼却された。・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・作家の現実への精神の角度が、A子B氏なみのところに在って、文学性というものの目やすはそれを小説の形にかき得るという一つの技術上の専門的分化の範囲にあるように考えている今日の読者の気持に、作家としての苦悩がないかの如くである。 かえす・・・ 宮本百合子 「今日の読者の性格」
・・・退嬰の姿におかれているのは、社会情勢によるとは云え、その出発に於て、プロレタリア文学の蓄積と方向とを否定しつよくそれと対立しつつ、悪化する情勢には受動的で、社会矛盾の現実は知識人間にも益々具体的な階級分化を生じつつあるという社会・文化発展要・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・それがおいおい発達して生産手段が複雑になり、社会生活が多様にかつ高まって来るにつれ、ついに今日見るような多種多様な専門に分化した文化をもつにいたっている訳である。 文化の問題についていう時、ある種の学者は、文化の地理的性質ということを非・・・ 宮本百合子 「今日の文化の諸問題」
・・・集団して生きる部族の政治は、ひとかたまりに生きてゆくやりかた、としてはじまって、やがて階級分化を行った人の集団と集団間のいきさつとなっていった。生きてゆくやりかた、の根源には、その集団の定着した地域の自然的条件が重大に関係した。その意味で、・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・ 級の小さい頃は漠然と仲よしで一組になっていた男の子と女の子とが七年生ぐらいになると、一種の発展的分化をおこす。 小学校の退けどき、賑やかな一団にまぎれ込んで歩いて見ると、小さい級の子供は男の子も女の子もゴチャゴチャだ。冬、むっくり・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・インテリゲンチアの急速な階級的分化の必然はわかっているのであるけれども、自分はさまざまの理由からその移行ができないことについての自己嫌悪。そのような内容をもつものであったと思う。それらの人々の当時の不安は、自分たちの生活の無内容を、より積極・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・ 大笑い いって参ります=いてまいりまち 枕=おまくわ 舌を出してジョラン ふずめ 中島貞子 東京女大 東北大学ドイツ文科哲学「文科って――何」「それが大変なの」「本当は・・・ 宮本百合子 「一九二七年春より」
出典:青空文庫