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・・・――一間四面の堂の施主が、売僧の魚説法を憤って、「――おのれ何としょうぞ――」「――打たば打たしめ、棒鱈か太刀魚でおうちあれ――」「――おのれ、また打擲をせいでおこうか――」「――ああ、いかな、かながしらも堪るものではない―・・・
泉鏡花
「木の子説法」
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・・・十日、庚戌、将軍家御疱瘡、頗る心神を悩ましめ給ふ、之に依つて近国の御家人等群参す。廿九日、己巳、雨降る、将軍家御平癒の間、御沐浴有り。(吾妻鏡 おたずねの鎌倉右大臣さまに就いて、それでは私の見たところ聞いたところ、つとめて虚飾を避け・・・
太宰治
「鉄面皮」