-
・・・ もうここまで漕ぎ付ければ、後はひとりでに自分の懐に入って来るほかないいくらかの土地を思うと、優勝の戦士がやがて来る月桂冠を待つときのような心持にならざるを得なかった。 比類ない自分の精力と手腕をもってすれば、こんな相手を斃したこと・・・
宮本百合子
「禰宜様宮田」
-
・・・土地の有償自作創立案を政府が発表するや否や、日本中の大地主たちは、忽ち親族間に土地を分割しはじめた。そして小地主の土地をとり上げはじめた。 そもそも婦人参政権を認めたにしても、極めて形式的で誠意のないことにおどろかされる。婦人に参政権は・・・
宮本百合子
「私たちの建設」