・・・ 大通りを行きつめたら、自然とカスピ海に向う、立派な遊歩道へ出た。ペルシア行汽船の埠頭などがあり、暑いところのためか、あっちにもこっちにも派手な水色、桃色に塗ったビール・スタンド、泉鉱飲料店を出している。海面に張り出して、からりとした人・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・ 一つの現実に対して、ゴーリキイは丁度ヴォルガ河がその上流から悠々と崖を洗い、草原をひたし、木材の筏を流しつつカスピ海にそそぎ入るように、目についた端の方から、一つずつひろがる流れにまき込んで書いてゆく。どっちかというと自然発生的である・・・ 宮本百合子 「長篇作家としてのマクシム・ゴーリキイ」
・・・ゴーリキイは二十四歳になる迄に、更にパン焼職人であり、カスピ海の漁業労働者であり、踏切番であり、弁護士の書記でありました。これらの生活の間でゴーリキイの見聞きしたものはどういうものだったでしょう。旧い野蛮なツァーのロシアで、民衆は才能も生活・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイについて」
・・・ペルシャやカスピ海沿岸との通商関係は進歩して古風な酔どれだらけの定期市の必要がなくなったのである。ニージュニが、その後すぐ始まった第一次五ヵ年計画によってソヴェト第一の自動車製作所を持つようになったことを知った時、私は、ゴーリキイがどんなに・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
・・・ 秋になってから、ゴーリキイは村を去りカスピ海の岸「汚いカルムイッツの漁場、カバンクール・バイの漁師の小さい組合に入ることが出来た」のであった。 クラスノヴィードヴォの農村生活に於けるこれらの強烈な経験の描写は、「私の大学」の中・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・ この事件があってから後、ゴーリキイは却って生活に対する真率な活溌性をとり戻し、翌年の春から人民主義者のロマーシという男と或る農村に行き、危く殺されかけるような目にも遭った。 カスピ海の漁業組合の労働者としてのゴーリキイ。やがてドヴ・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
出典:青空文庫