・・・言論機関としてのジャーナリズムがつよい統制、整備のもとにおかれたのは一九四八年からだったが、その方法は、昔からみると比べものにならず技術的であった。ゴロツキ新聞の排除、用紙配給の是正、購読者の要求への即応という掘割をとおって、戦後の小新聞は・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・一年半ばかりゴロゴロ そこの妻君の兄のところへうつる、 そこはい難いので夜だけ富士製紙のパルプをトラックにつんで運搬した、人足 そしたら内になり 足の拇指をつぶし紹介されて愛婦の封筒書きに入り居すわり六年法政を出る、「あすこへ入らな・・・ 宮本百合子 「SISIDO」
・・・ 被告外山勝将、もと運転手、同分会執行委員「被告に対してもあらゆる方法をもっておどかし、例えば町のゴロツキの如くお前は検察庁に喧嘩をうるつもりか。それなら俺たちはお前を法律で必ず殺してみせると暴言をはいておどかし、最後には、もしお前たち・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・ 只それ丈が分って居る丈でどうした訳でその様な時に叔父が床に就いて居たのかまるで分らないが、私はその傍にゴロンところがって足をバタバタ動かしながら種々な事を話して居た。 ――大変にその室が暗かったから多分雨でも降って居たのだろう。・・・ 宮本百合子 「追憶」
・・・ 黙り返っているお石は、折々不意にはっきり独言しながら、ゴロンと炉辺に臥ころがったりした。 禰宜様宮田も、もう土地も何にも入用なかった。ただどうかして、今のいやな心持から一刻も早く逃れたいばかりなのである。 ほんとにお石の云う通・・・ 宮本百合子 「禰宜様宮田」
・・・を散(きらした様にキラキラした中にゴロンとだらしなくころがって居る。 梁にある鶏の巣へ丸木の枝を「なわ」でまとめた楷子が壁際に吊ってあってその細かく出た枝々には抜羽だの糞だのが白く、黄いろくかたまりついて、どっか暗い上の方でククククと牝・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・ 或る人の一日 何とはなし、どうしてもぬけないけだるさに植物園にスケッチに行くはずのをフイにして、食事がすむとすぐ相変らずのちらかった二階に上って、天井向いてゴロンとひっくる返った。ぞんざいな造りの天井をしさいに見て・・・ 宮本百合子 「芽生」
出典:青空文庫