・・・イが『アンナ・カレーニナ』を書き、『戦争と平和』の中でナターシャとかアンドレー公夫人とか、それから公爵令嬢マリアなどを、あんなにいきいき書けたことはすでに知れわたっていることだし、ロマン・ローランは『ジャン・クリストフ』の中で非常に感覚的に・・・ 宮本百合子 「不満と希望」
・・・ ロマン・ローランは有名な「ジャン・クリストフ」の中で実によく女の多様なタイプを描いている。それぞれに異った性格、生きかたをするそれぞれの女が驚くばかりの瑞々しさで極めて感覚的に、肉体と精神とで活かされている。「魅せられた魂」という長篇・・・ 宮本百合子 「未開の花」
・・・ロマンローランの「ジャン・クリストフ」名を一寸思い出せませんが、同じ人が女性を主人公として描いた最近の長篇。ガルスワージーの“saint's progress”バッチンスの“this freedom”その他、深く読むべきものが多いと思います・・・ 宮本百合子 「嫁入前の現代女性に是非読んで貰いたい書籍」
・・・をめぐってさまざまな性格を表現しているが、ジャックは、ほかならぬジャックであって、少女ジャンネットにおきかえることは全然不可能である。 これは何故だろう。作者にとって、自伝的な要素が多い主題であるというばかりでなく、ここにはやはり、人間・・・ 宮本百合子 「若き精神の成長を描く文学」
「戦争と平和」のナタアシャ。「ジャン・クリストフ」のグラジヤ。 此等の女性の人格、生、そのものが直接心に響きます。〔一九二一年一月〕 宮本百合子 「私の好きな小説・戯曲中の女」
出典:青空文庫