・・・「電気マッサージ」と書いた看板の上に赤い軒燈があった。ひらいた窓格子から貧しい内部が覗けるような薄汚い家が並び、小屋根には小さな植木鉢の台がつくってあったりして、なにか安心のできる風情が感じられた。魚の焼く匂いが薄暗い台所から漂うて来たり、・・・ 織田作之助 「道」
・・・ ことによると、こうした芝居の観客の九十パーセントぐらいまでは、自分では意識していなくとも実はやはりそうした精神的マッサージの生理的効果を目あてにして出かけるのではないかという疑いも起こし得られる。 十七 なぜ泣くか・・・ 寺田寅彦 「自由画稿」
・・・ 私の体は二十四日以来可成りの無理があったから、随分気をつけてマッサージもまた始め、昼間よくねるようにしておりますから御心配下さいますな、何といっても体の大きい五つの子供をだくのは骨よ、体中にしまりのない子なのだから重さは非常なもので、・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
出典:青空文庫