・・・ 絵巻物の色々な場面の排列、モンタージュまた一つの場面の推移をはこぶコマ数の按配、テンポの緩急といったようなものに対する画家の計画には、ちょうど映画監督、編輯者のそれと同様な頭脳のはたらきを必要とすることがわかる。 映画としてのこの・・・ 寺田寅彦 「山中常盤双紙」
プドーフキンやエイゼンシュテインらの映画の芸術的価値が世界的に認められると同時に彼らのいわゆるモンタージュの理論がだいぶ持てはやされ、日本でもある方面ではこのモンタージュということが一種のはやり言葉になったかのように見える・・・ 寺田寅彦 「ラジオ・モンタージュ」
・・・ このようにして一連句は日本人の過去、現在、未来の生きた生活の忠実なる活動写真であり、また最も優秀なるモンタージュ映画となるのである。これについてはさらに章を改めて詳しく論じてみたいと思う。 ともかくも、俳諧連句が過去においてのみな・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
・・・浅く見れば、映画の技法の影響とも云えそうだけれども、もう一歩近づいてみれば、それは都会的なテムポの感覚から来たモンタージュの力量に止る性質のものでないことは明かである。 イリーンが、科学の知識を、ああもわかりやすく、ああもよろこばしく語・・・ 宮本百合子 「よもの眺め」
出典:青空文庫