・・・スターリングラードでの、彼は、彼の作家としての生涯にとっておそらく最も強烈でまじりけない人類的感銘をうけている。「スターリングラードの再建」の最後に彼ののべている感想には、真実の響がある。世界の元首たちが、スターリングラード市民の名誉の・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・ヴォルガからスターリングラードへ入る埠頭の景色が思い出された。包囲されているときレーニングラードは、その美しい大通りと面白い数々の橋とでつい目の前に浮んできた。モスクワへ侵入軍が迫るという時、私はどんな憤りを以って侵入者の近寄る足音を想像し・・・ 宮本百合子 「新世界の富」
・・・そのドニェプル発電所の再建からはじまって、スターリングラードの名誉ある復興、ウクライナ全地域、ドン全区にわたる生産復興は、短波できくニュースでもわかるとおり世界をおどろかせる能率で捗っている。 文化の分野でも、戦後における再検討、より高・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・ 有名な定期市が終った朝、ニージュニ・ノヴゴロドからイリイッチ号という小ざっぱりした周遊船にのって、秋のヴォルガを五日かかってスターリングラードまで下り、そこからコーカサス、チフリスと経て、アゼルバイジャン共和国の首府バクーへ来たのであ・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・スターリングラードの耕作トラクトル工場見学に行って、ずうっとドンの炭山まで視察だ」 見学団も各工場から出る。新しいソヴェトがどんないい工場を持ってるか、集団農場、国営農場はどんなにやっているか、都会の工場からの代表が一大隊繰り出すのにも・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の夏休み」
・・・私としては実に多くのことを学んだこの公判の期間をとおして、一九四三年一月スターリングラードにおいて死守の命令をうけたナチス軍が消息を絶ったというニュース、反ファシスト軍がイタリアのシチリア島に上陸して戦果をおさめ、ムッソリーニが辞職した・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・小包米とか赤ん坊の牛乳、姙産婦用ラードの配給、これは根本的な食糧問題の危機とインフレーションによる私たちの生存の危機を根本的に改善するものではないけれども、今の事情はあんまりひどいから誰しもそれを無いよりはましと思います。 親切の態度、・・・ 宮本百合子 「本当の愛嬌ということ」
・・・ 二 九月二十二日 土曜日 ヴォルガ河からスターリングラードへ十九日に上陸、それからウクライナの野を横切って、こちらで有名な温泉のあるキスロボードスク、ピヤチゴルスクに一晩ずつ泊りました。コーカサスに近・・・ 宮本百合子 「ロシアの旅より」
出典:青空文庫