・・・今年のシーズンにチェホフの作は一つも上演されなかった。或る人は、いつか「叔父ワーニャ」を、芸術座で演る筈だと云う。或る人は、いやそれはしないが、桜の園は確定したそうだと云う。私共は何時、何処で、チェホフの何が観られるものか、全然知ることがで・・・ 宮本百合子 「シナーニ書店のベンチ」
・・・六月十日から二週間の上演順序である。 十日――十五日。インドの子供。 十六、七日。皇子と乞食。 十九――二十一日。アンクル・トムの小舎。 観衆の年齢に応じて、脚本の内容はだんだん複雑になって来ている。それより日本女を羨ましが・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・一九二七・八年ころメイエルホリドが表現派風の上演をした「トラストD・E」の作者であるが、このエレンブルグの作家としての活動の形は、四〇年までのソヴェト文化の上では、一つの特殊例であったのではないかと思う。エレンブルグは非常にしばしばフランス・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・ 詩の方面では、国鉄の詩人達が職場の詩人としての成果をしめして、ますます発展しようとしていることや、勤労者によって書かれた戯曲が自立劇団の上演目録に登場しはじめたことなどを見逃すことはできません。古い天皇制的な祝日が民主的な人民の祝日に・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・ 演劇では演じる人間が労働者出身の男女俳優であるばかりでなく、上演脚本の内容自身にいつも労働大衆の日常生活を盛込んでいる。だから、婦人俳優は舞台の上で一番自分に親しみの深い婦人労働者、党の婦人部の活動分子を演じる訳なのだ。 ラジオの・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の芝居・キネマ・ラジオ」
・・・その時の上演目録はコムソモールのコンムーナを取り扱った陽気なオペレットと五ヵ年計画に於ける農場の集団化を主題としたドラマだった。オペレットの事だから筋は割合他愛の無い物だし、歌がどっさり這入り陽気にやっているらしくは見えるが全体に漲るユーモ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト「劇場労働青年」」
・・・ 第二群は、革命以前から存在し、現在はソヴェト作家の脚本を上演し、プロレタリアートとその党の線に沿ってはいるが、大して独特な存在意義はもっていないもの。ここでは、諷刺劇場、コルシュ劇場などがあげられる。 第三群は、生え抜きの新し・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・あれだけの組織をもっていながら、資本主義の演劇ばかりやっていて、だからたとえ人気取りのため、社会主義的な脚本を上演するとしても、それはどこまでも社会民主主義的立場で、それで自分達が切符を沢山売って、利益を得て行くというだけの問題である。・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・を上演することが書かれている。この場合、一般人間性の解放というところに力点をおいたり、男女平等というところにだけ力点をおくものとすれば、幾等かのナイーヴであろう。じゃじゃ馬は甘やかしと媚びと屈伏では、決して馴らせるものではない――条理に立つ・・・ 宮本百合子 「デスデモーナのハンカチーフ」
・・・ もう半月ばかりすると、この演劇サークル上演の芝居が見られるのだそうだ。ドイツの新式な電気照明装置が舞台についている。 元の廊下をゆくと、右や左にいくつもの室が並んでいる。真先に目につくのは「レーニン主義共産青年同盟」「地区委員会」・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
出典:青空文庫