-
・・・ その日の酉の下刻に、上邸から見分に来た。徒目附、小人目附等に、手附が附いて来たのである。見分の役人は三右衛門の女房、伜宇平、娘りよの口書を取った。 役人の復命に依って、酒井家から沙汰があった。三右衛門が重手を負いながら、癖者を中の・・・
森鴎外
「護持院原の敵討」
-
・・・ ―――――――――――――――― 十一月二十四日の未の下刻である。西町奉行所の白州ははればれしい光景を呈している。書院には両奉行が列座する。奥まった所には別席を設けて、表向きの出座ではないが、城代が取り調べの模様をよ・・・
森鴎外
「最後の一句」