・・・仕方がないから両様の好みを入れて一軒建てようということにして設計までいたしておりますが、これも今のところ私達の理想に止まってなかなか実現されそうにありません。こうした些細な慾望や、理想は兎も角として、この地上に誰れもが求め、限りもなくのぞむ・・・ 宮本百合子 「愛と平和を理想とする人間生活」
・・・殺した側とすれば、あれはああして殺し、これはこうして殺し、いずれも等しく単一な目的のためにした両様の処置にすぎなかったのだ。しかし、私たちは、徹底的に生きることを要求して生きつつあるものである。したがって、どう生きるかということ、その生のた・・・ 宮本百合子 「誰のために」
・・・ 何かの折佐佐木茂索氏とふさ夫人とが題材としては小さい一つの題材を二人両様に扱って書いたところ、その扱いかたの腕では、茂索氏が勝ったとか、ふさ夫人がまけたとか、単に二人をかけ合わすのが面白いというような対比のしかたでゴシップにのぼったこ・・・ 宮本百合子 「夫婦が作家である場合」
・・・我々が自然を認識するのはこの両様の意味を含んでいる。すなわち外形はそれと全然似よりのない、性質の違ったものを我々に認識させるのである。三 ところでこの外形と全然異なった内部生命を認識することは、いかにして可能であるか。たとえ・・・ 和辻哲郎 「「自然」を深めよ」
出典:青空文庫