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・・・漸次之ニ序グ者、則チ曰ク大磯屋、曰ク勝松葉、曰ク湊屋、曰ク林屋、曰ク新常磐屋、曰ク吉野屋、曰ク伊住屋、曰ク武蔵屋、曰ク新丸屋、曰ク吉田屋等極メテ美ナリ。自余或ハ小店ト称シ、或ハ五軒ト号ケ、或ハ局ト呼ブ者ノ若キハ曾テ算フルニ遑アラズ。且又茶屋・・・
永井荷風
「上野」
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・・・ニコライの鐘楼と丸屋根が美しく冬日に輝いて、霜どけの花壇では薬草サフランと書いた立札だけが何にも生えていない泥の上にあった。由子はうっとり――思いつめたような恍惚さで日向ぼっこをした。お千代ちゃんは眩しそうに日向に背を向け、受け口を少しばか・・・
宮本百合子
「毛の指環」