・・・ 婦人の独自な条件に立って体育、知育、徳育の均斉した発達の必要と、家庭生活における夫婦の「自ら屈す可からず、また他を屈伏せしむべからざる」人性の天然に従った両性関係の確立、再婚の自由、娘の結婚にあたって財産贈与などによる婦人の経済的自立・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・ 児童教育の理想を話される時など、人性の尊厳、微妙さの感歎、セコンド・ジェネレーションに対する健全な期待の心などが、流露した。先生の話を伺っているうちに、若いものは、生活を愛し、価値を高め、積極道に活きずに居られないような、光明、希望、・・・ 宮本百合子 「弟子の心」
・・・それの「立体化ということは、ある意味においては、全人性の獲得ということとも通ずるのではないか」「雲の会」という名も、おそらくは、ギリシァ喜劇「雲」への連想に由来しているのだろう。 こんにちの日本の社会では、現代人の発想として、さまざまの・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・予はそれをつかむとともに豊富な人性の内によみがえった。―― そこに危機があった。そうして突破があった。この体験から予の警告は生まれたのである。五 予は道義を説く。愛を説く。ある人はそれを陳腐と呼ぶだろう。しかし予は陳腐な・・・ 和辻哲郎 「『偶像再興』序言」
・・・個性が完成せらるる度の強ければ強いほどそれは特殊の色彩を強めるのであるけれども、同時にまた人性の進化に参与する所も深くなる。特殊の極限はやがて普通となるのである。 個性の完成、自己の実現はいたずらに我に執する所に行われるものではない。偉・・・ 和辻哲郎 「自己の肯定と否定と」
出典:青空文庫