・・・「植物の運命と人間の運命との似通いを感じることがすべての抒情詩の久遠の題目である。」「仏法のいろいろな経文を、たぐいなくありがたい抒情詩と思います今日この頃の私であります。」「水晶幻想」時代にも、彼は科学の階級性は全然把握できな・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・儒学に入っても、道教に入っても、仏法に入っても基督教に入っても同じことである。こういう人が深くはいり込むと日々の務めがすなわち道そのものになってしまう。つづめて言えばこれは皆道を求める人である。 この無頓着な人と、道を求める人との中間に・・・ 森鴎外 「寒山拾得」
・・・「一体御主人の博聞強記は好いが、科学を遣っているくせに仏法の本なんかを読むのは分からないて。仏法の本は坊様が読めば好いではないか。」 寧国寺さんは饂飩をゆっくり食べながら、顔には相変らず微笑を湛えている。 主人がこう云った。「君・・・ 森鴎外 「独身」
出典:青空文庫