・・・浜口雄幸がどうしたとか、若槻が何だとか、田中は陸軍大将で、おおかた元帥になろうとしていたところをやめて政治家になったとか、自分たちにとっては、実に、富士山よりも高く雲の上の上にそびえていて、浜口がどうしようが、こうしようが、三文の損得にもな・・・ 黒島伝治 「選挙漫談」
・・・現に新聞は共産党への弾圧を挑発するためマ元帥暗殺計画を企てた新井輝成という男の記事を発表している。 当時の中央委員たちによって、スパイとして調べられていた小畑達夫が特異体質のため突然死去したことは、警視庁に全く好都合のデマゴギーの種とな・・・ 宮本百合子 「信義について」
・・・その侯爵令嬢が、ほかならぬ故東郷元帥の孫娘であったことは、世間の視聴をそばだてしめた。 良子嬢が、浅草のカフェー・ジェーエルで、味噌汁をかけた飯を立ち食いしつつも朗らかに附近のあんちゃん連にサービスし人気の焦点にあったという新聞記事をよ・・・ 宮本百合子 「花のたより」
日本女性の参政二年を記念して、去る十日にマッカーサー元帥が発したステートメントの言葉は大変に美しく、日本婦人の理想の姿を描き出していたと思います。 あの文章を読んで、日本のまじめな多くの女性は深い感慨に打たれたと思いま・・・ 宮本百合子 「平和を保つため」
・・・ この草案の発表された三月七日の新聞紙上には、いっせいに「マ元帥、全面的に承認」という記事が、あわせてのせられていた。「交戦権抛棄の特点指摘」という小見出しもついていたから、世界平和の確立のために、ともかくその点だけでも評価されたのであ・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
出典:青空文庫