・・・公務員法をむりやりとおしてはじめからきらわれている吉田内閣は新しい選挙をひかえて、いくらかでも人気をとりかえすために食糧問題や転入自由の景品をだしました。「住宅問題の解決や賃金問題の解決はぬきにして」きたるべき選挙に今日の政府は勝算をもって・・・ 宮本百合子 「泉山問題について」
・・・その記事の傍らに見るものは、連日連夜にわたる幣原、三土、楢橋の政権居据りのための右往左往と、それに対する現内閣退陣要求の輿論の刻々の高まり、さらにその国民の輿論に対して、楢橋書記翰長は「院外運動などで総辞職しない」「再解散させても思う通りに・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
共学 期待はずれた今度の内閣改造の中で僅かに生彩を保つのは安倍能成氏の文部大臣であるといわれる。朽木の屋台にたった一本、いくらかは精のある材木が加えられたところで、その大屋の傾くことを支え切れるもので・・・ 宮本百合子 「女の手帖」
・・・フランス内閣を動かしてマルクス、バクーニン等をフランスから追放させることに成功した。 イエニーは十四ヵ月でパリ生活を切り上げなければならなくなった。金がちっとも無かった。家賃さえなかった。エンゲルスが骨を折って友人の間から金を集めた。生・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・ 第一次大戦終了の後、漸々新婦人協会が治安警察法第五条の改正を議会に請願し、世界の社会情勢に押されて一九二二年その改正建議案は貴衆両院を通過したが、その三年後には当時の内閣が、婦人公民権に対してさえ不許可を声明したのであった。昭和五年と・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・しかも、幣原内閣は、それに対して決して皆の納得ゆくような方針を実現してはいない。にもかかわらず、現内閣は、よたつきながら、今倒れるか、今倒れるかと思われながら、とうとうモラトリアム公表という重大な危機さえ突破して、どういう工合に作成されたも・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
・・・ つい先頃、吉田内閣ができようとしていた数日前、『毎日新聞』は、各政党支持の世論調査というものを発表した。その世論調査では、吉田総裁の民主自由党が第一位を占めていた。『毎日新聞』の発行部数は百万と二百万の間と云われている。日本では、まだ・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・戦争による未亡人の生活確立に関して、植民地から引揚げて来た人々の生活再建に対して、今日の吉田内閣は、どんな責任ある処置も行うことが出来ずにいます。 政府によって言明された大量馘首政策が比較的ゆるやかなテンポで行われているのも勤労階級の組・・・ 宮本百合子 「国際民婦連へのメッセージ」
・・・ センセーショナリズムは、内剛外屈の吉田内閣が民主化すてながしの一九四九年度筋書として極端にまで使用した方法でもあった。政治と文化とを一貫して、世相を押しきったこのような潮流は、一九四九年度の毎日文化賞の準備調査、読売新聞社の良書ベスト・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・Goethe が小さいながら一国の国務大臣をしていたり、ずっと下って Disraeli が内閣に立って、帝国主義の政治をしたようなのは例外で、多くは過激な言論をしたり、不検束な挙動をしたりする。George Sand と Eugユウジェエヌ・・・ 森鴎外 「沈黙の塔」
出典:青空文庫