・・・婦人部維持費五銭積立の件、××さん出産祝の件、組合内に購買組合を組織する件、日頃の団結の強さと未来の勝利への確信が何とも云えない熱となってこの屋根の下に燃え輝いている。 × 翌朝は日が出ると間なし起床だ。 いい天気で、朝靄が・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
・・・托児所。出産仕度金は月給の半額まで支給され、ソヴェト同盟の労働法は姙娠五ヵ月以上の婦人労働者と、生れて十ヵ月未満の赤坊を抱えた婦人労働者は、殆んど絶対に解雇することは許されない。 こないだまでの世の中とは何という違いだろう! 支配人の顔・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・に反抗し、抗議せずにいられない情熱から、自分の独立を、自分の不服従を、女性だけがなし得る出産という行為で、明らかにする欲求から結婚もせず、恋愛からでもなく、子供を持とうとする。母の親友であるマルシャル国手をジュネヴィエヴは自分を母にしてくれ・・・ 宮本百合子 「未開の花」
・・・ソヴェト同盟では、あらゆる勤労婦人に出産前後三ヵ月から四ヵ月の有給休暇を与える。出産支度料を月給の半額まで支給する。九ヵ月間牛乳代を貰える。そして、各区の産院は無料だ。 その産院を、現実にこの眼で見学したくてやって来たのだ。「勿論結・・・ 宮本百合子 「モスクワ日記から」
・・・そして、允子は私生子として第一の出産を行うのである。生れた男の子は允男と命名された。「允男! 允男」「允子に取っては何よりも允男である。」やがて公荘の妻が病死し、允子は失職する。子供を抱えた生活が脅かされはじめ、允子は「結局女に残された一番・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
出典:青空文庫