・・・万一それから刃傷沙汰にでもなった日には、板倉家七千石は、そのまま「お取りつぶし」になってしまう。殷鑑は遠からず、堀田稲葉の喧嘩にあるではないか。 林右衛門は、こう思うと、居ても立っても、いられないような心もちがした。しかし彼に云わせると・・・ 芥川竜之介 「忠義」
・・・ 四 忠臣蔵 日活の今度の大仕掛けの忠臣蔵は前半「刃傷編」を見ただけである。なるほど数年前の時代活劇から比べるとだいぶ進歩したものだと思われる点はいろいろある。たとえば、勅使接待の能楽を舞台背景と番組書だけで見せたり・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」
・・・ 十五 乙女心三人姉妹 川端康成の原著は読んだことはないが、この映画の話の筋はきわめて単純なもので、ちょっとした刃傷事件もあるが、そういう部分はむしろはなはだ不出来でありまた話の結末もいっこう収まりがついていない・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
・・・そのサーニが、臓品分配のことから刃傷沙汰を起し、半殺しの目にあってシベリアの雪の中に倒れていたところを、その地元の「嘗て浮浪児たりし人々のコンムーナ」すなわち少年労働訓練所に救護された。サーニが到頭、自身を卓抜な青年労働者にたたき上げる迄の・・・ 宮本百合子 「作品のテーマと人生のテーマ」
出典:青空文庫