・・・戦争を予期しても日本が大勝利を得て一躍世界の列強に伍すようになると想像したものは一人も無かった。それを反対にいつかは列強の餌食となって日本全国が焦土となると想像したものは頗る多かった。内地雑居となった暁は向う三軒両隣が尽く欧米人となって土地・・・ 内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
・・・それはヨーロッパ列強に分割されたポーランドで生れたショパンのことである。それから崔承喜をはじめ、朝鮮出身の歌手たち舞踊家たちのことである。日本の権力は植民地であった朝鮮の人民の間からすぐれた政治、経済面の活動家が、成長してくることを極力ふせ・・・ 宮本百合子 「手づくりながら」
・・・はまだわれわれのところに無いにしろ、帝国主義列強の侵略に対してソヴェト同盟の革命的な労働者農民を支持し、社会主義社会の建設を防衛するものこそわれわれである。支持と協力と自身の解放を誓うわれらの叫びを送ろう。 モスクワへ! ドニェプル・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・眠っている、然し吼えて立ち上ったらどのような力を振うかもしれぬというのが、広大な国土の潜勢力に対する列強の予想であった。 それに対して日本は、今日と全く違った目安でヨーロッパ諸国からは見られていたのであったから、イギリスの力を勘定に入れ・・・ 宮本百合子 「花のたより」
・・・一九三一年の中国の日常風景は確に蒋介石のブルジョア革命の影響、列強植民地政策の行きづまりによって変っただろう。だが、吉行エイスケが中国の日常風景を作品に盛る場合、作者にとって主要な精髄は、銀座にあるとは種類の変った現代中国エロ・グロ風景だ。・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
・・・世界の情勢は革命的作家に実に多くの任務を負わせ、実践を必要としている。列強ブルジョアジーの第二次世界戦争の準備に対し、世界のプロレタリア作家の闘争は激化されるが、東洋のポーランドである日本においてプロレタリア作家の歴史的使命は、革命的大衆の・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・明治、大正時代の日本資本主義の興隆期に向っていた権力者たちが、中国と当時のロシアに対して他の列強資本主義が抱いていた利害関係との一致において敢行したことだった。だから、中国に対する日本の後進国帝国主義の侵略の結果は、その潮のさしひきの間に三・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・我々の前には、世界帝国主義列強における最も反動的な城塞がそびえている。我々労働者・農民も、この城塞を不屈の闘争で攻め落し、国際的に重き歴史的任務に答えねばならぬ。 我々、日本の労働者・農民は、アジアにおける最も野蛮な支配体制、自国ブルジ・・・ 宮本百合子 「労働者農民の国家とブルジョア地主の国家」
出典:青空文庫