・・・今日の女性はもっと自分たちの生活の現実から本を読むし、漫然とした感想風な著作にあき足りないひとは、そこに専門的な精密さをもとめて、例えば谷野せつ氏の最近の女子労務者の生活調査を扱ったパンフレットなどをも深い関心で見ていると思う。 それが・・・ 宮本百合子 「女性の書く本」
・・・は事実上高級社員、確かな人物という範囲でだけ動いていて、社内一般の労務者の生活のよろこびの源とはなっていないわけである。ここに、営利会社というものの本質からの撞着の姿があるし、働く男女のおかれている社会の条件のむきつけな露出もあると思う。・・・ 宮本百合子 「働く婦人」
・・・社会が母という名に向って示している敬意と、女がとりも直さず母なのであるという事実に立った母性の保護が、社会の全面にゆきわたっているとはまだいえない実際は、現在女子労務者たちが改善を切望している点が、賃銀関係ではなくて、むしろ作業条件と厚生施・・・ 宮本百合子 「若い母親」
・・・急に女子労務者が激増しても、その条件にふさわしい便所、食堂、更衣室その他の設備を整えることについて、政府はちっとも工場主を監督し激励するところがなかった。彼等の利潤追求におもねるばかりであった。 食糧は規格統制に従って配給されるようにな・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫