・・・ 〇時半の急行で札幌に向かう。北緯四十一度を越えても稲田の黄熟しているのに驚く。大沼公園はなるほど日本ばなれのした景色である。鉄骨ペンキ塗りの展望塔がすっかり板に付いて見える。黄櫨や山葡萄が紅葉しており、池には白い睡蓮が咲いている。駒ヶ・・・ 寺田寅彦 「札幌まで」
・・・そして二人ともこう言うんだ。北緯二十五度東経六厘の処に、目的のわからない大きな工事ができましたとな。二人とも言ってごらん」「北緯二十五度東経六厘の処に目的のわからない大きな工事ができました」「そうだ。では早く。そのうち私は決してここ・・・ 宮沢賢治 「ありときのこ」
・・・ワシントン市在留駐米日本大使の知らぬこれは強烈な感覚的思慕だ。北緯四十*度から**度の間に弦に張られた島 日本が、敏感に西からの風、東からの風に震え反応しつつ、猶断然ユニークなソーユ○人間がこの世に生きる人としての価値は、その人にど・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
出典:青空文庫