・・・をもっていながら、今年の前四分の一半期には一冊も新しい本を買わなかった。国立出版所は、新刊書の配布網についてもっと研究するべきだ。そういうことは書いて来る。しかし、村の人々はどういう小説を読みたがっているか、またどの小説に対してどういう風に・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・皮肉なことは、戦後派とよばれた近代文学同人たちの大部分が、前年の下半期から一九四九年をとおして、インテリゲンチャとしてそれぞれに着目すべき社会的文学的前進を行っていたことである。個人主義の開花時代の近代ヨーロッパの文学精神を、日本で窒息させ・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ 一九三一年の後半期、張作霖を爆死させて満州への侵略がはじまってから一九四五年八月十五日まで、日本の人民生活の物も心もぼろぼろになり果るまで、わたしたちは十四年間の戦争にさらされた。戦争は現代の資本主義の国々が互にもっている利害の矛盾や・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・この半年に青少年の犯罪は一万を突破して昨年後半期より二千百二十六名の増加であり、筆頭が竊盗。そして、職業別にみると、有職者が六千数百人で第一位をなし、二十二歳が最高の率を示している。 春ごろ、青少年労働者が浪費と悪所遊びに陥る傾向につい・・・ 宮本百合子 「私の感想」
出典:青空文庫