・・・に関する作者平田氏の文章がのっていたのであるが、私はなぜかその文章と前後して会った同氏の話の調子とから、一貫して心にのこるある種の印象をうけた。ナウカ社ニュースの文章では作者自身すでに「囚われた大地」が農民の書いた小説でないことはもちろん、・・・ 宮本百合子 「作家への課題」
・・・まして国鉄本省にあらわれた下山氏がとりみだしていたという姿は、一日に千余通送られていた人民の哀訴の手紙と、権力に奉仕する官僚としての板ばさみの立場に苦しむ同氏の心の乱れのほかではないだろう。 死の過程がどうであったにしろ、下山氏の死の本・・・ 宮本百合子 「「推理小説」」
八月七日の本紙に、伊藤整氏が同氏の作「幽鬼の町」に就て書いた私の月評に反駁した文章を発表された。編輯者は、私からそれに答える文を求めている。生活及文学に対する私の態度を盲目的な偏執又は非芸術的な機械性と云われている点や錯覚・・・ 宮本百合子 「数言の補足」
・・・といい、ジャーナリズムが社会的効果に対して無責任であることを指摘しているが、もし現在のジャーナリズムにそのような弱いところがなかったならば同氏によって『文芸』に推薦されたと仄聞する勝野金政の小説などは、烏滸がましくも小説として世間に面をさら・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・『セルパン』八月号にも同氏の「文化の自由性と文化統制の原理」という論文がある。そこで氏は文化の自由こそ文化を進めるものであると主張されているのであるが、ここでも氏の判断の中で曖昧のままのこされている上述の一点は作用して、結末に於て、作家・・・ 宮本百合子 「矛盾の一形態としての諸文化組織」
出典:青空文庫