・・・多くの国がそれぞれ具体的な情勢の下で多数の人々をプロレタリア文学の旗のもとに結集させるために、きわめて含蓄にとんだ指導的な示唆を含んでいるからです。 日本において、階級対立は激化しつつある。プロレタリアとして十分自覚を持たずプロレタリア・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・たトルストイと四十三歳のソフィヤ夫人とは銀婚式をあげ、恐らくそれは世界的大芸術家、社会改良家、哲人としての名誉にふさわしい家族的祝祭であったであろうが、トルストイは自分の日記に向ってただ一行、恐ろしい含蓄をもって書いている。「もっとよくあり・・・ 宮本百合子 「ジャンの物語」
・・・や一頁人物評、吉川英治についての書きぶりなど、もう少し含蓄をもって読者の頭にきざみつけられるような筆致が更に効果的であったろうと考えられた。 この雑誌のみならず、すべての雑誌が、もっともっと沢山わかり易い自然科学に関する記事、世界の人類・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・ 大衆とその一部としての知識人が啓こうとする人間性の前途は、人間生活の最も含蓄ある意味での科学性の花咲く将来でもあるのである。〔一九三七年十月〕 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・ その上、日常生活はまるで日本とは違い、言語まで、その微妙な点で自分達の持合わせた感情とは異った内容を含蓄しているような場合、先ず、変なこと、妙なことの方が、一般の地味な社会生活の基礎よりは目立って見え、注意を牽くのは当然です。一寸見た・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・このような態度で人生にうちかっている作者の心持が、描写の含蓄ある手法や構成における善意ある緊密さに、統一をもって滲み出しており、その面でも「贋金つくり」と対比的であると感じられる。心をとらえて真面目にする力はそこから湧いていると思われる。「・・・ 宮本百合子 「次が待たれるおくりもの」
・・・、ゴーリキイの描く婦人。九月。作品のテーマと人生のテーマ。十月の文芸時評十月。「或る女」についてのノート。十一月。自然描写における社会性。、暮の街十二月。未開の花。、含蓄ある歳月。一九三七年この年七月・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・磨きぬかれた舞踊の技術と情緒の含蓄と、しかもその情緒を貫く愛の思いがいかにも睦み合う夫と妻との諧調を表現していて、全く感動的であったと思う。広いホールに、時間が来たのにまだ現れない前線からの良人を待って、踊りを所望されたカッスル夫人が、不安・・・ 宮本百合子 「表現」
・・・において、主題の継承化のために必要な文章とは全く本質において違う文脈に属する文章の俳句風な含蓄、語らずして推察させようとする省略法の誤った使用などによって、知らず知らず煩わされていることを強く感じるのである。 島木健作氏の諸作を読んで、・・・ 宮本百合子 「文学における古いもの・新しいもの」
・・・をロシアの大衆に贈ったということは、全く、レーニンが簡単で含蓄のあるほめ言葉を与えた通り「時宜に適った」功績であった。 その作品がおよそ二十年後の当時にあってもなお一番青年に愛されているということは私の心を動かした。面白いことにこの「母・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
出典:青空文庫