・・・ 上級生になってから、学校の図書館に出入りしてよいことになった。丁度その頃、千葉安良先生という一人の女先生が西洋歴史からやがて教育と心理学とを受持たれた。この先生こそ、私にとって忘られない先生である。千葉先生が、教科書以外に図書室から借・・・ 宮本百合子 「女の学校」
・・・美しい郵電省の先に、少年図書販売店がある。入って見ると、ある、ある! 色彩も美しい五ヵ年計画の絵解きから、十月革命の相当のむずかしい歴史に至るまで小学校の学年順に並べた棚が出来ている。 モスクワを留守にしたのはたった一ヵ月未満だった。そ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・小図書館の数は殆ど八千四百。勤労者は、それ等のクラブまたは工場、役所内の研究会で、政治教程とともに大抵音楽とか、劇、または文学を、めいめいの好みに従って研究している。 ソヴェト同盟内の作家の作品はもとより、外国のプロレタリア作家の代表作・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 万葉集の立派な写本は宮内府図書寮とかにあってお歌所の長である佐佐木信綱博士しか見られないものだったそうだ。マチスやユトリロの名画は、日ごろは特定の個人に秘蔵されていて、盗まれ横領にあった騒ぎではじめてわれわれ人民の耳目にふれて来る。旧・・・ 宮本百合子 「国宝」
・・・そこはホテルに働くものの為の休息室、食堂、職業組合のメストコム、党細胞で、一隅には赤布で飾った小図書部「赤い隅」がある。文盲者率の最も高い人民栄養労働者が彼らの文化革命と社会主義建設を達成すべき細胞である。 廊下を通る日本女の空色ヤカン・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・彼の帝国博物館総長図書頭という官職は果して彼の文学的達成にプラスとなっているのみであろうか。伝記を読むと彼はその官職に就いて辞令をうけた日、従来一個の文学者としての立場からその学芸欄に関係を持っていた諸新聞と、改めて関係を断っている。このよ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・ところが、文部省の推薦図書にはこれが入っていない。何故なのだろう。審査員の中に、そういう方面の科学者がいないのだろうか。いることはいても、投票のようなことの結果ああいう日本として自慢にならないようなことになるという事情があるのだろうか。科学・・・ 宮本百合子 「市民の生活と科学」
一九三七年十二月二十七日、警保局図書課が、ジャーナリストをあつめて懇談会を開く。その席上、ジャーナリストが自発的に執筆させないようにという形で、執筆禁止をした者、作家では中野重治、宮本百合子、評論家では岡邦雄、戸坂潤、鈴木・・・ 宮本百合子 「一九三七年十二月二十七日の警保局図書課のジャーナリストとの懇談会の結果」
・・・「トラム」のグループなんかは日常生活まで共産制にしてやっている。ソヴェトには、劇場の標準形態とでもいうようなきめがある。工場や役所にあると同じ「赤い隅」「図書部」「討論」「研究会」定期的集会。それ等管理の委員制を各劇場はもっていなければなら・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・でも音楽、文学、映画、演劇、政治研究室、及び図書室が、必ずついている。其の他に「母と子」の部屋と云うのがあって、婦人労働者及妻が集会や映画を見たり演説を聞いたりする間に子供を遊ばせて置く処である。「大クラブ」になると、体育室、水泳プール、大・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの「労働者クラブ」」
出典:青空文庫