・・・ 常に労働者と鼻突きあわして住み、また農産物高の半面、増税と嵩ばる生活費に、農産物からの増収を吐き出して足りない百姓の生活を目撃している者には、腑甲斐ない話だとそれは嘆ぜられるのだ。攻勢の華やかな時代にプロレタリア文学があって、敗北の闇・・・ 黒島伝治 「田舎から東京を見る」
・・・なぜならいままでは塩水選をしないでやっと反当二石そこそこしかとっていなかったのを今度はあちこちの農事試験場の発表のように一割の二斗ずつの増収としても一町一反では二石二斗になるのだ。みんなにもほんとうにいいということが判るようになったら、・・・ 宮沢賢治 「或る農学生の日誌」
・・・インフレーションのせつなさはどこでも主婦の胸にこたえて、主婦も何かで家計の増収をはかりたい希望があります。子供をかかえた未亡人も、三年目のことしは、もう行きつくところまで来ました。子供があるからこそ、働く必要は一層痛切だのに、その子供のため・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・二九年 六百五十万ヘクター 一九三〇年 四千三百万ヘクター 一九三一年 六千五百万ヘクター 集団農場に組織された農民は一九三〇年に、五〇パーセントの増収を見た。そして、この七月の統計による・・・ 宮本百合子 「反動ジャーナリズムのチェーン・ストア」
出典:青空文庫