・・・婦人労働者たちは、デモに着て出る服の手入れでもして、四月三十日になると、モスクワ全市の食糧品販売店では、火酒、ブドー酒、ビール、すべてアルコールの入った飲物を一斉に――売り出すのか? そうじゃない、反対だ。絶対にアルコール飲料は売らなくなる・・・ 宮本百合子 「勝利したプロレタリアのメーデー」
・・・ そして、収穫時が来ると、お初穂をどれも一箇ずつ、妙法様と御先祖にお供えした後は、皆売り出すのだから、今からの手入れは決して忽がせにはできない。 雇人や作男などは、皆猫っかぶりの大嘘つきで、腹のうちでは何をたくらんでいるか、知れたも・・・ 宮本百合子 「禰宜様宮田」
・・・というスローガンで市場へ売り出す白菜や南京豆の代りに、こういうものを作りはじめたんだ。 × 天井の棟から、五分芯ランプが下ってる。左翼劇場のビラの下に壁へ濃い陰影をおとしながらギッシリつめかけて坐ってるのは、婦人部の連中だ。二十・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
出典:青空文庫