・・・彼は天命を負うて俳諧壇上に立てり。されども世は彼が第二の芭蕉たることを知らず。彼また名利に走らず、聞達を求めず、積極的美において自得したりといえども、ただその徒とこれを楽しむに止まれり。 一年四季のうち春夏は積極にして秋冬は消極なり。蕪・・・ 正岡子規 「俳人蕪村」
・・・ 読者に奇異の感を与えるそのような冒頭の文句ではじまる、長文の上申書の終りは、かつての転向上申書の書式を思わせ、共産党への罵倒と「いかなる罰も天命であって人智のなすべからざるところと。そして後、新たなる魂をもって邦家のために生き抜こうと・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・人間は目的を持って努力の生活をすれば、自ら身体は強健になり、蓄財も出来、老後は天命を楽しめるのである。「怒るな。働け」と。 今日の生活は、こういう単純な警告に対して、論争はせずに唯笑って過す程、女の社会性は複雑になって来ている。はっきり・・・ 宮本百合子 「私たちの社会生物学」
出典:青空文庫