・・・ この頃好景気のある船会社の船長の細君は、外米は鶏の餌に呉れてやっている、これは最も簡単な方法だが誰れにでも出来る方法ではない。新潟では米を家畜の飼料にしたというが、勿体ない話だが、新潟の農民が自分の田で作った米と、私の地方の農民が、金・・・ 黒島伝治 「外米と農民」
・・・ 欧州大戦と、この大戦では被害という程の経験をしなかった日本が、大戦に当って好景気時代にめぐり会い、社会経済に一段と膨脹を示したことは、直接にはジャーナリズムの規模の飛躍的な拡大となり、一方に円本時代を現出した。そして当時の既成作家の大・・・ 宮本百合子 「今日の文学と文学賞」
・・・永遠の好景気をゆめみていたアメリカが、既に六百万人からの失業者を出している。行きづまった資本主義帝国では産業の合理化と労働強化で、プロレタリアートをしめ木にかけてる。生活水準、労働条件は悪化するばかりだ。 世界にあふれる凡そ四千万人以上・・・ 宮本百合子 「なぜソヴェト同盟に失業がないか?」
出典:青空文庫