・・・は、まだきょうほどせっぱつまらなかった戦後の懐中に応じて、非常に好評であり、経済的にもあたったとされている。 土方与志氏が、東宝の大世帯の全体を活用しなければならない条件を考慮しながら観てたのしく、新鮮で変化にとみ、下劣でもないよろこび・・・ 宮本百合子 「真夏の夜の夢」
・・・が大好評で入選した。粗末な板壁のある街角で黄色い髪をした小学生たちがふと出合って、互いにはにかんでいる絵は、題材の自然さと、描写の活々としたたしかさとで誰の目にも賞牌候補と思われたが、作者のマリアが、金にこまらない貴族の美しい娘であることが・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
・・・それ故、例えば文芸映画についても、文学作品そのものへの鑑賞が無規準ななりの或る好評に招きよせられて映画化し、その映画化によって、じかに文学作品をよこよりもっとうわすべりな受けいれかたをひろめるという結果も生じ易い。文芸作品が映画化されてゆく・・・ 宮本百合子 「観る人・観せられる人」
・・・ この放送は、譲原さんが自由にしっかりとよく話して、好評だった。 それっきり、わたしは譲原さんに会わずにしまった。去年の夏から自分も具合がわるくて、暮から正月へかけては非常によくない状態におちいった。ときどき譲原さんはどうしているだ・・・ 宮本百合子 「譲原昌子さんについて」
・・・映画の圧倒的好評につれて、第一書房は出版当時はそれぞれ分冊として発売していたパアル・バック夫人の「大地」「母」「息子たち」「分裂せる家」と作者が自分の父母の生涯を描いた二冊の作品とを代表選集として売り出している。 既刊の五冊を読んだ感想・・・ 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
・・・題が示しているようにこの二十歳の作者の世界は貧苦と病と労働の世界である。好評であることが十分にうなずけるつよい迫力をもった、生々しい筆致で長屋生活の「隣近所の十ケ月」その他が描かれている。この作者は、はっきり婦人作家として立ってゆこうとする・・・ 宮本百合子 「若い婦人の著書二つ」
出典:青空文庫