・・・と親切に忠告しておられたのであるが、その息子や娘が婚期をおくらさざるを得ないような経済状態にある今日の大多数の家庭で実際上どんなより高尚な趣味を養ってやり得るであろうか。例えばヴァイオリンの有名な教師モギレフスキイの一ヵ月の月謝は四十円であ・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・日本では年々労働にしたがう若い女のひとの数は殖えており、先日それぞれの道の専門家が新聞で語っていたとおり、大衆の経済事情が近頃わるくなって来たにつれ、若い婦人の就業年限がのびて、婚期もおくれて来ているのが、今日の実際である。昔から、婦人の犯・・・ 宮本百合子 「職業婦人に生理休暇を!」
・・・銀にしろ、男と全く同じ働きでさえ女だからと五銭なり十銭なりやすくしなければ気のすまない従来の習慣に対して、労務委員会あたりでは談笑のうちに、女がどっさりとるようになると永く働いていて男の邪魔になるし、婚期がおくれて人口問題にもさし障る、と至・・・ 宮本百合子 「働く婦人」
・・・そこには、常識で女の婚期と考えられている期間が割合短い制限を持っていることもあるし、数の上で男の少くなって来ている今日の現実にもかかわっている。 そういう今日の若い男女が自分たちのこととしての結婚についてどんな心持ちや考えを抱いているの・・・ 宮本百合子 「若い世代の実際性」
出典:青空文庫