・・・ 他の人の行くことを嫌うところへ行け。 他の人の嫌がることをなせ これがマウント・ホリヨーク・セミナリーの立った土台石であります。これが世界を感化した力ではないかと思います。他の人の嫌がることをなし、他の人の嫌がるところ・・・ 内村鑑三 「後世への最大遺物」
・・・横堀は蝨をわかせていそうだし、起せば家人が嫌がる前に横堀が恐縮するだろう。見栄坊の男だった。だからわざと起さず、紅茶を淹れ、今日搗いて来たばかしの正月の餅を、水屋から出して焜炉の上に乗せ乍ら、「どうしてた。大阪駅で寝ていたのか。浮浪者の・・・ 織田作之助 「世相」
・・・ そうかと云ってまた無理やりに嫌がる煎薬を口を割って押し込めば利く薬でももどしてしまい、まずい総菜を強いるのでは結局胃を悪くし食慾を無くしてしまうのがおちである。下手なレビューを朝から夜中まで幕なしに見せられるようなものであろうと思われ・・・ 寺田寅彦 「マーカス・ショーとレビュー式教育」
・・・ どんな家でも、親たちは子供が心から嫌がることについて、平気ではありません。何しろ、うちでは娘がいやがって、ききませんもので、とお母さんが、何事かしようとしてやめる場合は沢山ありました。もし、今の闇で命をつないでいるような暮しを、日本じ・・・ 宮本百合子 「美しく豊な生活へ」
出典:青空文庫