・・・子供も死んだが大人も死んで、孤児がウンとできました。 そういう孤児をソヴェト同盟では立派な働きてとして育てるために多くの費用をかけて国家で「子供の家」を組織したのがそもそも「子供の家」のはじまりです。 今では、モスクワみたいに大きい・・・ 宮本百合子 「従妹への手紙」
・・・ またこんどの大戦前に堀口大学氏の訳で出版されたマルグリット・オードウの「孤児マリー」という独特な小説があった。この小説の作家、マルグリットはパリのつつましい一人の裁縫師であった。裁縫工場に勤めて働いている裁縫女工ではなくて、個人から小・・・ 宮本百合子 「衣服と婦人の生活」
・・・きょうの辛さに喘いでいる数十万の未亡人、孤児、戦傷者たちは、かつてはすべて護国の宝であったのだ。法隆寺の例にむきだされた行政官僚の文化に対する無責任は、二月二十一日の読売にのった高瀬荘太郎文相の私立学校つけとどけ木戸御免説となって再現してい・・・ 宮本百合子 「国宝」
・・・マリイ・オゥドゥウの「孤児マリイ」は何とまざまざと女の子のための孤児院の生活感情を語っているだろう。「格子なき牢獄」という映画にはリュシェールという若い女優の美しさばかりでなく私たちの心をうつものがあった。そして、それよりもっと生のままの身・・・ 宮本百合子 「ジャンの物語」
・・・ 世界に何千何万人の未亡人がいるか、孤児がいるか、戦災者がいるか、この人たちはみんな戦争を欲していません。 この社会を発展させようとしている世界の婦人は戦争を欲していない、彼女たちの涙がそれを教えました。 世界民主婦人連盟は八千・・・ 宮本百合子 「世界は平和を欲す」
・・・数百万人の戦争未亡人たちのこんにちの生活と、孤児たち、浮浪者たちのこんにち。都内の子供の生活は、そういう日本人民の破滅に蝕ばまれていて、風がわるいからと、自分の貰った子たちは学習院に入れる文学者たちは、その学校の土堤の中に、日本人民の独立や・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・六〇万人以上の未亡人と一二万人の孤児と六〇万の戦争による不具者とが生じたのであった。 第二次世界大戦の間じゅう、他の諸国ではその恐しい戦争の底を縫って、国際的な友交が保たれていた。ナチス占領下のフランスで、フランス人民の自由と文化を守ろ・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・ 又、近頃堀口大学氏の手で「孤児マリイ」「光ほのか」「マリイの仕事場」と三つの小説が翻訳されたフランスの婦人作家マルグリット・オオドゥウの生活と作品なども、知性というものについて考えさせる多くのものをもっている。 オオドゥウは中部フ・・・ 宮本百合子 「知性の開眼」
・・・ そこへ思いもかけず、学者の孤児となった淑貞がひきとられ育てられることとなった。彼女は「柳の花のように」C女史の「感情の園生に飛びこんだ」 十年の間C女史の身辺で、「あたかも静かな谷間の流れのようであった」淑貞はC女史にとって「天使・・・ 宮本百合子 「春桃」
・・・数百万の戦争未亡人・孤児の生涯は見殺しながら、三月八日の婦人デーはごまかして、三月は日本の雛祭り、とお客さまにお目にかける態度の卑屈さをいきどおり赤面しない婦人たちがあるだろうか。メーデーには棍棒隊をくり出させて、端午は日本の男の節句と他方・・・ 宮本百合子 「婦人デーとひな祭」
出典:青空文庫