・・・ こういう読者層はさすがに今日自分たちの判断が曇らされぼんやりさせられて来ていることは感じて、書評にたよったり、出版書肆の信用と目されるものにたよったり、著書の定評的評判にたよったりして本を読んでゆく。それにしろ、根本に於て、何となく自・・・ 宮本百合子 「今日の読者の性格」
・・・会員の顔ぶれとして、林房雄、浅野晃、北原白秋、保田与重郎、中河与一、倉田百三等、この一、二年来の新日本主義的提唱とともに既に顕著な傾向性を示すと共に一般からおのずからなる定評を与えられている諸氏以外に国文学その他の分野では一応は誰しも社会的・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・世間には定評というものがある。その道の人なら誰でも知っているというものもある。その店のものがその店なりによいということは当り前だし、いわゆる通という人たちが、かれこれ比較したりすることも当り前のことだろう。それらのことを、知らないような年齢・・・ 宮本百合子 「山の彼方は」
出典:青空文庫