・・・ある日、その家の古びた客間へスカンジナヴィア文学の翻訳家である宮原晃一郎さんが訪ねて来られた。そして、北海道の小樽新聞へつづきものの小説を書かないかとすすめられた。 新聞の小説というものには、一定の通念がある。一回ごとにヤマがなければい・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)」
・・・スカンジナヴィア文学の専攻家でブランデスやハムスンを日本に紹介した宮原晃一郎氏が、故郷である北海道の新聞へ何か作品をということで書き出したものだった。このたび思いがけなく新聞切抜きを発見することができたのも、宮原氏の未亡人の協力によった。・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)」
・・・ ◎ 宮原氏と原稿の話をした時、二十四字づめを使って居ると云うと 彼は「それ丈は一寸違って居るんですね」と云った。 自分は、軽い、而し鋭い侮蔑で恐らくかえりはおくれるだろう。 十月・・・ 宮本百合子 「一九二三年夏」
去る十一月一日発行の『文学新聞』に評論家の佐藤静夫氏が三鷹事件の被告宮原直行さんの令兄にインタービューしたときのルポルタージュがのせられていた。商業新聞のやりかたにいためられてはじめは会うのも話をするのもいやがっていた令兄・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・竹本員子、「流れ」宮原栄、「死なない蛸」「朝鮮ヤキ」譲原昌子。その社会的基盤のひろさ、多様さにふさわしく、これらの婦人たちは人民の文学としての発言の可能を示しはじめている。けれども、人民生活と文学との苛烈さは、「朝鮮ヤキ」のすぐれた作品を最・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・ 聴取者は生きている あちらこちらでラジオのことが考えられている様子で、十二月号の『中央公論』に宮原誠一氏が「放送新体制への要望」という文章をかいていられる。 筆者の閲歴などについて全然知らないから、その文・・・ 宮本百合子 「ラジオ時評」
出典:青空文庫