・・・インフレーション防止のためにいろいろの対策が行われましたが、物価があがるのを防ぐことはできませんでした。いくら働いても給料は物価においつかなくて、あらゆるところで、賃銀の値あげ運動がおこりました。ところがみなさまよく御承知のとおり、やっと要・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・作家の社会的孤立化に対する自覚と警戒、その対策が、文学の大衆化の呼声となって現れて来たのは、本年初頭からのことなのである。 こういう事情でとりあげられているきょうの文学の大衆化の問題について、二つの問題が常にこんぐらがってもち出されて来・・・ 宮本百合子 「今日の文学に求められているヒューマニズム」
・・・この頃の普通人はどうも小説――純文学の作品に対して興味を失っている。大衆小説は読んでも、真面目な小説は読まなくなって来ている。この対策として、作家が文学青年を目あてにして書いたような過去の「私小説」をやめ、大いに社会性のある、大衆にとっても・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・或る人は真の芸術を理解させるようにしなければならぬという対策を提案し、或る人はレビュー劇場が商売とは云いながらすこしは宣伝に公徳心を加味して欲しいと要求しておられる。 これ等の記事を読んで私は、教育家が或る程度固定した頭で現実に対する処・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・ あれこれの理由で野菜が消え去ったとなって、市民のそれに対する対策はどんな方法で行われているかというと、やはり実に個人的にやられている。或る隣組の常会で、その話が出て、お宅ではどうなすっていらっしゃいますかという問いが出た。一軒の家は、・・・ 宮本百合子 「主婦意識の転換」
・・・しかし、市町村制改正の政府案から婦人公民権は削除され、当時、公民権賛成議員が多くて政府はその対策に腐心したと記録されている。政友民政両党から出された婦人公民権案は、ついに否決されたのであった。 ところが五年の議会ではまたこの公民権がもり・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・学校当局は、丁度幣原内閣が、増産対策も、食糧対策も現実には持っていなくて自然、働く者の生産参加と人民の食糧管理又は供出の管理に任せなければならないでいるとおりに、学生の問題を学校当局として処理して行く能力を欠いてしまっている。これまでの学校・・・ 宮本百合子 「青年の生きる道」
・・・勤労者文学」について新しく大きい見かたが緊急に必要ではないかという点とが、かみ合わされていない。勤労者文学対策の強化、作品指導キカンの設置、講座、学校、入門書の発行、などがあげられているだけで、きょうの段階では、どうしても「勤労者文学」とい・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・ 昨今作家の生活、作品が現代一般人の生活から浮き離れ読者の関心を失って来ているということの文壇人自身による自覚と、それに対する対策とがこの座談会でも真先に語られている。林房雄氏は、真面目な文学者評論家は当今意識的に文壇を離れたがっている・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・先生の禅情はこの痛苦の対策として現われた傾向である。 先生の超脱の要求は、痛苦の過多に苦しむ者のみが解し得る心持ちである。我々は非人情を呼ぶ声の裏にあふれ過ぎる人情のある事を忘れてはならない。娘がめっかちになって自分の前に出て来ても、ウ・・・ 和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
出典:青空文庫