・・・いっさいの空想を峻拒して、そこに残るただ一つの真実――「必要」! これじつに我々が未来に向って求むべきいっさいである。我々は今最も厳密に、大胆に、自由に「今日」を研究して、そこに我々自身にとっての「明日」の必要を発見しなければならぬ。必要は・・・ 石川啄木 「時代閉塞の現状」
・・・同時に詩および詩人に対する理由なき優待をおのずから峻拒すべきである。いっさいの文芸は、他のいっさいのものと同じく、我らにとってはある意味において自己および自己の生活の手段であり方法である。詩を尊貴なものとするのは一種の偶像崇拝である。 ・・・ 石川啄木 「弓町より」
・・・イデオロギストは、趣味を峻拒すか。でも、としを考えなさい、としを。「どなたでしたかしら?」 近眼かい? 溜息が出るよ。「クレヨン社の、……」 名前まで言わせる気かい。蓄膿症じゃないかな?「あ、失礼。柳川さん。」 それ・・・ 太宰治 「渡り鳥」
出典:青空文庫