・・・二十二日の晩宿の主婦から、天主教の幼稚園で降誕祭式があるから行かぬかと誘われたので行って見ました。主婦と娘と、家事の見習いかたがた手伝いに来ているというスチューバー嬢と四人で行きました。狭い室におもちゃのような小さい低い机と椅子を並べて、そ・・・ 寺田寅彦 「先生への通信」
・・・まだ幼稚園の冬子はその時間中相手になってくれる人がないので、仲間はずれの佗しさといったようなものを感じているらしかった。それで自分も祖母の膝の前へ絵雑誌などをひろげてやはり一種の復習をしている事もあった。 この四、五月頃から父親が毎日絵・・・ 寺田寅彦 「小さな出来事」
・・・人候補者、あるいは良人という狭い選択圏の中でばかりいきさつをもって来るものでなかったら、異性の間の友情について常に何かロマンティックな色どりを求めるいくらか病的な感傷性も、きっとずいぶん減っただろう。幼稚園時代から引つづいた男の子と女の子と・・・ 宮本百合子 「異性の友情」
・・・ ソヴェト同盟は勤労婦人の重荷を軽くするため、同時に幼い兄姉たちを自由に勉強させるために、工場、集団農場を中心とする幼稚園、托児所、子供の遊び場の設備拡大を、やはり五ヵ年計画で実現しつつある。 費用は三億五千万ルーブリだ。幼・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・ 一九二七―二八 一九三二―三三 増率 幼稚園子供の竈 一〇七 二一七 一〇二・二パーセント 子供の遊場 二〇三 五〇六 一四九・三パーセント 固定託児所 一〇〇八 一五九七 ・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 〇年生から、級の中には衛生委員、日々の食事当番がある。幼稚園、托児所時代から仕事はすすんで、当番は自分たちのたべたあとのアルミニューム鉢やスプーンを洗い、それを食器室まで運ぶ役目をやる。 教室の掃除もする。男の子だから食事に関する・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・父さんと母さんがこの新しい労働者住宅へ越して来て階下に建物附属の幼稚園があった。そこで毎日、昼間は暮してるのだ。 ソヴェト・ロシアでは、子供を大切にしている。丈夫に、賢い、よい労働者として育つように国家がいつも出来るだけの金を出して、注・・・ 宮本百合子 「楽しいソヴェトの子供」
・・・五つ六つになり幼稚園に通う頃になると、子供は次第に、独りで物事を処理することを訓練されます。友達同士の子供の社会で、一人だちで行為することを許されます。若し通路に危険がなく、公園にでも近ければ、子供は独りで一定の時間まで遊ばせられる。朝顔を・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・かたい表紙をあけてみると、教育という見出しで遺伝についての記事、胎教についての項目、フレーベル氏及幼稚園というような記事の頁が克明に書きこまれている。 インクで書かれたそれらの字は歳月を経てもう今日ではぼんやりとした茶色に変っている。明・・・ 宮本百合子 「本棚」
・・・五つの時の可愛いまき毛のレーニンの写真は、今日ソヴェト同盟の到る所の幼稚園にかかっている。だが、ゴーリキイの子供の時の写真は一枚もない。ゴーリキイは指物師であった父親に五歳の時死別れた。それから後、母と共に引き取られた祖父の家でどんなに非人・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
出典:青空文庫