・・・アメリカとソヴェトとイギリスと中国、連合国側の婦人の労働力は、同様に強度に動員されたとしても、戦争の本体が平和の防衛のためであったから、現実にさまざまの問題は持っているにしろ、彼女達の犠牲も究極においては平和の建設というはっきりした目標を持・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・十九世紀末のデカダンスを普仏戦争の影響と結びつけて考え得るものは、現戦争の後にさらに強度のデカダンスを予期しなくてはならぬ。 しかしもっと重大なのは、急激な精神的変化である。現戦争によって自然科学はそのあらゆる威力を発揮した。人間は自然・・・ 和辻哲郎 「世界の変革と芸術」
・・・象徴を捕える異様な敏感、自己を内より押し出そうとする内的緊張、あらゆる物と心の奥に没入し得る強度の同情心、見たものを手の先からほとばしらせる魔術のような能力。――これが芸術創作における最も特殊な点である。 しかし、いわゆる創作が必ず右の・・・ 和辻哲郎 「創作の心理について」
・・・オペラにおける動作は一般に芸術的とは言い難い愚かなものであるが、人形の動作はまさに人間の表情活動の強度な芸術化純粋化と言ってよいのである。 ところでオペラの統一はオーケストラの指揮者が握っているが、人形芝居にはこのような指揮者がいない。・・・ 和辻哲郎 「文楽座の人形芝居」
出典:青空文庫