・・・それが一つの有機体であるところの身体の全部にたとえ微少でもなんらかの影響のないはずはなさそうである。 それがある病気にどれだけきくかはまた別問題であるがそれは立派に一つの研究問題になる事であり、そうしてまさに日本の医者生理学者の研究すべ・・・ 寺田寅彦 「自由画稿」
・・・もっとも、人間にでもきわめて微量な金属が非常に必要なものであるということは、近頃だんだんに分かりかけて来ているようではあるが、しかしそれは食物全体に対して10のマイナス何乗というような微少な量である。この虫のように自分の体重の何倍もある金属・・・ 寺田寅彦 「鉛をかじる虫」
・・・これが冬期だといったいの水温がずっと低いために悪いガスなどの発生も微少だから害はないであろう。これは想像である。 それにしても同じ有害な環境におかれた三尾のうちで二つは死んで一つは生き残るから妙である。 水雷艇「友鶴」の覆没の悲惨事・・・ 寺田寅彦 「藤棚の陰から」
・・・そしてこれらの第二次的影響の微少なる限り近似的に適用するものである。それでこの種の方則は具体的事象の中から抽象によって取り出された「真」の宣言であって、それが真なるにもかかわらず、実際に日常目撃する現象その物の表示ではない。 優れた観察・・・ 寺田寅彦 「漫画と科学」
出典:青空文庫