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・・・「我することをば何れをも能きこととばかり思ふ」人である。こういう人は下の者に智慧を盗まれる。というのは、おだてにのって、自分で善悪の判断をすることができなくなるのである。したがってますますばかになる。 もっとも、家来というものは、そうい・・・
和辻哲郎
「埋もれた日本」
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・・・「西洋の学者の掘り散らした跡へ遙々遅ればせに鉱石のかけらを捜しに行くのもいいが、我々の脚元に埋もれてゐる宝を忘れてはならないと思ふ。」 寺田さんはその「我々の脚元に埋もれてゐる宝」を幾つか掘り出してくれた人である。・・・
和辻哲郎
「寺田寅彦」