・・・して見れば我我の棲息する地球も、――是等の結合の一つたる地球も太陽系中の一惑星に限らず、無限に存在している筈である。この地球上のナポレオンはマレンゴオの戦に大勝を博した。が、茫々たる大虚に浮んだ他の地球上のナポレオンは同じマレンゴオの戦に大・・・ 芥川竜之介 「侏儒の言葉」
・・・火星は惑星ですね、ところがあいつは立派な恒星なんです。」「惑星、恒星ってどういうんですの。」「惑星というのはですね、自分で光らないやつです。つまりほかから光を受けてやっと光るように見えるんです。恒星の方は自分で光るやつなんです。お日・・・ 宮沢賢治 「土神ときつね」
・・・ 第一話から第五話まで、コフマンは太陽と七つの惑星、そのなかの一つである地球、その地球のまわりの空気などについて語っている。宇宙の偉大さを感じさせるこの部分は、私たちに岩波文庫に出ている「史的に見たる科学的宇宙観の変遷」を思いおこさせる・・・ 宮本百合子 「科学の常識のため」
・・・それは自分が、自分達すべての仲間に感じなければならない生活の根本になる理解であり、万物の生死を司り、この惑星の微妙な運行と変化とを支配している力への、持つべき根本の理解である。「夢ではない。物語りの幻でもない」 汝の、曇らざる眼を見・・・ 宮本百合子 「地は饒なり」
出典:青空文庫