・・・戦争の惨禍にさらされた地球のすべての国の人民は、人民こそ、戦争の犠牲であることを、まざまざと知っている。それ故に人民こそ、世界の人民の平和のために努力し奮闘するに価する事実を知って行動しているのである。十数億の人々が平和のために立っている。・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・愛が破壊されたということで、子さんは最もはげしく戦争の惨禍をうけた婦人の一人である。 香織さんの霊が不滅であると信じずにいられない思い。命日には同じ思いの人々が集って涙をしぼる物語に心を休めているにしろ、その嘆きの底に「あれは一体、誰ゆ・・・ 宮本百合子 「その願いを現実に」
・・・ビュスマルチネアメリカのドライサア、アプトン・シンクレア、ルイスその他の作家たちと共に心から平和を欲し、戦争の原因を究明しその社会的原因をそれぞれの国においてより少くし、またはとりのぞくことで、戦争の惨禍を人類からなくしようという情熱で結び・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・ 戦争の惨禍と、人民生活の犠牲。なかでも弱い女の蒙っている打撃の致命的な深刻さを痛切に理解し、一刻も早い適切な処置を思うなら、戦犯で潰れた反動政党へ、どうして女が入られよう。家庭を奪い、愛する男たちを殺し、傷け、今日の日本をもたらした、・・・ 宮本百合子 「人間の道義」
・・・同時に一方では、これまで満州ばかりを戦場にしていた日本人すべてが、はじめてわが顔をやく焔として近代武器による戦争の惨禍を実感した。そして、戦争のこわさを身にしみている。 この入りくんだ社会感情のいきさつこそが、今日、わたしたちを渦にまき・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・遡って考えると、二十八年前の第一次ヨーロッパ大戦において、ヨーロッパ諸国及びアメリカは深刻極まる戦争の惨禍を経験している。ヨーロッパ資本主義間の利害の矛盾が、第一次大戦を起したことは誰の眼にも明瞭である。同時に、あれ程多くの血を流し、あれ程・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫