・・・『ホトトギス』所載の挿画 年の暮の事で今年も例のように忙しいので、まだ十三、四日の日子を余して居るにもかかわらず、新聞へ投書になった新年の俳句を病牀で整理して居る。読む、点をつける、それぞれの題の下に分けて書く、草稿へ棒を引・・・ 正岡子規 「ランプの影」
・・・『文学界』六月号所載川上喜久子氏の「郷愁」という作品などは、文学の大衆化が誤って理解された芸術的実践の一つの不幸な標本を示していると思われる。 ひとくちに、大衆と云っても、その規定のしかたはいくつかあると思う。少くとも、大衆が低い文化を・・・ 宮本百合子 「今日の文学に求められているヒューマニズム」
・・・ モスク夕刊新聞所載 ストローヤの閉店時間 モスクのストローヤが僅にセントルで十二時まであるだけであとは八九時にしめてしまうため夜勤の労働者が熱い обед をたべられない モスソヴェートは附近の労働状態を考慮して閉店時間の延長を許・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・ 一月号所載の中條の論文「一連の非プロレタリア的作品」に対しては多くの同志たちの批判が加えられ、又筆者自身自己批判するところもあった。しかし、論文に対する批判そのものに又種々討論さるべき点があったので、筆者の自己批判並び批判の再吟味とし・・・ 宮本百合子 「前進のために」
出典:青空文庫