・・・ 各々が思い思いの処に立って、夢からさめたばかりの様に気抜けのした、手持ちぶさたな顔をして、今まで自分等のさわいで居た処を見て始めて、折角盛り分けた薯の椀の或るものはひっくりかえり、いつの間にか上った鶏が熱つそうに、あっちころがし、こっ・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・ 各々が思い思いの処に立って、夢からさめたばかりの様に気抜けのした、手持ちぶさたな顔をして、今まで自分等のさわいで居た処を見て始めて、折角盛り分けた薯の椀の或るものはひっくりかえり、いつの間にか上った鶏が熱つそうに、あっちころがし、こっ・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・手持現金旧券++500円以内の給料+300円+ ところで、このはっきりとした式をしげしげと眺めているうちに、私たちの心には、いくつかの疑問がわいて来た。 現金で支払われる月給はひとし並最高五百円まで。残額はいくらあろうと・・・ 宮本百合子 「モラトリアム質疑」
・・・ いざモラトリアムが公布されるという前日、殆どすべての銀行で、政府要路の人物、財閥たちは、手持ちの厖大な金額を、封鎖洩れとされていた五円紙幣に代えた。モラトリアムが公布されたとき一般の市民は忽ち小額紙幣饑饉で大困難をした。モラトリアム第・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・ いざモラトリアムが公布されるという前日、殆どすべての銀行で、政府要路の人物、財閥たちは、手持ちの厖大な金額を、封鎖洩れとされていた五円紙幣に代えた。モラトリアムが公布されたとき一般の市民は忽ち小額紙幣饑饉で大困難をした。モラトリアム第・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫